いう字は真中から先に書くんですね、端から書いちゃいけないですね」
「そうです、真中から先にお書きなさい」
「先生、おたあ[#「おたあ」に傍点]は字を書くふりをして、人形の頭を書いています」
「うそだい、うそだい」
「うそなもんか、これ見ろ、墨がこの通り坊主頭になってらあ。先生、おたあ[#「おたあ」に傍点]は字を書くふりをして、こんな坊主頭を書きました」
「いけません……それから周造さん、お前さんも、人のいいつけ口をするものじゃありませんよ」
「先生、おたあ[#「おたあ」に傍点]がおいらを睨《にら》みました、帰りに覚えてろといって、拳固《げんこ》をこしらえて見せました」
「静かになさい。多造さん、人をおどかしてはいけませんよ。それから周造さんも、おたあ[#「おたあ」に傍点]といわずに、ちゃんと多造さんとおいいなさい」
「先生、硯《すずり》の水がなくなりました」
「それではみなさん、お手習はこれでおしまいにします、硯と草紙を、ちゃんと正しく、筆を前に置いて、こちらをお向きなさい」
 程経てお松がこういうと、子供たちが静まり返る。お松は自分も座について、
「手をよごしませんでしたか、さあこう
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