ろうと》を教育したりして、ともかく、十七間の船に備えるほどの大砲を修理する設備が整うているのであります。
「これはカノーネルの一種で、関口の大砲製造所で作らせたうちの一つを持って来て、修理を加えているのですが、海軍砲としては最小のもので、万一の際、これが一つ有ったからとて、大した力にはなるまいが、それでもないにはまさると思って工夫を加えています。近々出来上り次第、試射をやってみるつもりですから、田山さん、あなたもぜひ、それまで逗留《とうりゅう》して見て行って下さい……それから、あの船を動かす機関ですが、これは、やっぱり石川島造船所へ伝手《つて》があって払下げてもらった品に、自分相当の工夫を加えているのです。そうですね、大砲の方は近々……船の一切が整うは多分来年の四月頃になりましょう。その時はひとつ進水式をやりますから、また見に来て下さい」
「承知致しました、ぜひそれは見せていただきます。ただ見せていただくだけでは気が済みません……私も、その船の乗組の一人に加えていただけますまいか、どこへでもお伴《とも》を致しますよ」
「そうですか、あなたのような乗組員を得ることは、船のため仕合せですか
前へ
次へ
全322ページ中172ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
中里 介山 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング