す、その節、併せてお願いを致しました通り、少々怪我を致しておるものでございますゆえ、このままで失礼を、おゆるし下さいますように」
見れば品のよい令嬢姿の女が、顔にはお高祖頭巾《こそずきん》をかぶったままでの、しとやかな挨拶です。二人は一議にも及ばず、
「いかなる御用か存ぜねども、まずこれへお通り下さるよう」
火鉢の間を分けて、お銀様を招じました。そこでお銀様が二人に向っての頼みというのは、こうです。
自分は宇津木兵馬の連れの者であるが、兵馬は机竜之助を敵《かたき》と狙《ねら》っていること御存じの通り。自分としては、そのいずれをも傷つけたくない心持であること。
ついては、あなた方のお計らいで、どうか二人を近づけないようにしていただきたい。自分としては、どちらが傷ついてもいやである。しかし、二人は近づかねばならぬ運命が迫っている。近づけばいずれかが傷つくか、両方が倒れる。それをさせないのは、一《いつ》にあなた方の方寸である。どうか、あなた方の計らいで、宇津木兵馬を机竜之助のそばへ寄せないようにして下さるわけにはゆくまいか。結局これが私の願いでもあり、おたがいのためでもある……という
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