敵《かたき》の手がかりがついて、こんな喜ばしいことはござらぬ。ついては仰せの通り明日早々、御両君の同行を願ってここを出立したいのでござるが、ちょうど、自分はたのまれて、さるところまで人を送り届けねばならぬ責任があるゆえに、一日おくれて……」
 途中しかるべきところで落合おうということを申し出しました。
 やがて二人が帰ってしまうと、静かにお銀様が次の座敷から出て来て、
「宇津木さん、わたしの尋ねて行く人は、あなたの仇《かたき》でしたね」
「そうです」
 聞かれてしまっては仕方がない、兵馬は苦しげに白状しました。
「なんという因縁《いんねん》の戯《たわむ》れでしょうね」
「そうですね、全くなんともいえない忌《いや》な因縁になりました」
「わたしは好きな人を探しに行く、あなたは、どうでも、その人を殺さなければならないのですね」
「その通りです、彼を討たんがために、わたくしはこの年月を苦心致しました」
「けれども、わたしは、またあの人がなければ、生きていられないのですよ」
「私はまた、彼をそのままで置いては、男子の面目が立たぬのです」
「そうして、明日からの旅はどうなさるつもり?」
 これは
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