れわれとても別段急ぐという旅ではないから、これから君と共に引返そう、引返してあの男のあとを慕ってみようではないか。君にとっては不倶戴天《ふぐたいてん》の敵、われわれも、もう一応、会っておかなければならないのだ、共に願ったりかなったりの好都合ではないか。かれはいま眼が見えぬ、眼は見えないが、その太刀先《たちさき》は少しも衰えない、次第によっては、われわれが君のため、後見の役目をつとめてもよろしい、ずいぶん、油断すべき相手ではない」
 案の如く、お銀様に聞かせたくないことを、この男はズバリズバリとしゃべってしまったのみならず、ひとり呑込みで同行をとりきめ、まかりまちがえば、助太刀の役まで引受ける気取りでいる。これは兵馬にとって容易ならぬ有難迷惑だけれども、相手が相手、ことにこう乗り気になっている際では、いやといっても付いて来るに相違ない。そこでいやでもおうでも明日からは当分、この連中と道づれにならなければならぬ運命となる。
 自分は、いいとしても、お銀様が、それは忌《いや》がるにきまっている。そこで兵馬は咄嗟《とっさ》の間《かん》にこう言いました。
「御両君の好意を有難く存じます、おかげで
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