え、畜生」
一旦、蹴飛ばしておいて、次に踏み殺してしまいました。
二十
この二人が甲府の市中を進んで行くうちに、例のヘラヘラ役者の、覆面辻斬の絵看板の辻々に掲げられたのを見ると、仏頂寺が、
「この奴等、いいかげんにしないと、目に物見せてくれるぞ」
と、ちょっと凄《すご》いことを言いました。目に物見せてくれるといったところで、何といっても仏頂寺ほどの者が、ヘラヘラ役者を相手に、本式の立廻りを見せようというわけでもあるまい。何かの機会を見て、懲《こ》らしめのために、かたわ者にしてやるくらいが落ちでしょう。
やがて、この二人が、柳町の佐野屋という宿へ着いたので、幸か不幸か、そこでバッタリ[#「バッタリ」に傍点]と落合ったのが宇津木兵馬です。兵馬も、この宿に泊っていて、もう少し先に立帰ったところでありました。
勢い、バッタリと出会《であ》わないわけにはゆきません。出逢《であ》って見れば、一方、仏頂寺は、兵馬が修行時代に道場へ往来して、幾度も竹刀《しない》を合わせたことがあり、丸山勇仙は、十津川の時に藤堂勢に従って、書記みたような役目をつとめ、兵馬のために人相書をか
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