って来たな。
興行界を渡りあるくゴロがやって来たな、今まで来なかったのが不思議だが、果してやって来た、千秋楽を見込んでやって来たからには、ただは動くまいと、お角は度胸をきめてその方に出向くと、
「親方!」
ゴロが早くも認めて呼びかけました。その背後には四五人の同勢がいる。
「何です」
「おめでとう、大当りでおめでとう。だが親方、いいことの裏には悪いことがある、あんまり当り過ぎると罰《ばち》が当るから、用心しなくちゃいけねえぜ」
「大きに有難う、それがどうしたというの」
「勝って兜《かぶと》の緒を締めろとはここなんだぜ、親方」
「何だかわからないよ」
「高い木は風に揉まれるというやつさ……親方が大当てに当てたもんだから、世間から目ざされるようになったんだ。世間から目ざされるようになるとあぶない」
「何があぶないんだエ、なにもわたしは、世間様から目ざしてもらおうともなんとも思っちゃいないんだよ、名前を売りたいとか、親分になりたいとか、そんな了見《りょうけん》でやってるんじゃありませんからね、商売でやってるんだから、当ることもありゃ、外《はず》れることもありまさあね」
「まあ、そう、ポン
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