ら》の小法師の仕業《しわざ》だ! そこでいつもきまって、弁信というものを憎み呪うのが例になっている。
「ずいぶん大きな傷でございましたわね」
とお絹も、この鏡にうつる傷の大きさを、いまさら驚いた様子です。
「愛想《あいそ》が尽きるだろう」
「なあに、あなた……」
この舌たるい言葉を、神尾は二様の意味で聞きました。一つは傷などはどうあろうとも、面付《かおつき》などは、いかに拙《まず》かろうとも、男でさえあればたんのう[#「たんのう」に傍点]しますよという意味にも聞え、もう一つはなにそのくらいの傷は、あなたの男ぶりの全体には少しもさわりにはなりませんよ、という意味にも聞える。
この傷が癪《しゃく》にさわるから、神尾は、日ごろつとめて鏡を見ないことにしていました。今、こうしてまともにうつ[#「うつ」に傍点]されてみると、一時は、眼まいをするほどに、呪わしさと、腹立たしさを感じましたが、落着いてみると、それが裏を返して皮肉になり、わざと、見つめるだけこの傷を見つめてやろうという気になり、鏡にうつる傷の面《かお》をじっと力を籠《こ》めて見つめたものです。
「おれには眼が三ツある」
神尾は自
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