ろ従えと申し上げたいのでございます」
「よき破壊と、よき忍従とは、共に同じほどの力を要するものだ、難きを人に責めないがよい」
「難きを責むるのではございませぬ、常道を責むるのでございます。奥方のお振舞は、あなた様にとっては、まさしく叛逆なのでございます」
「叛逆?」
「と申し上げました無作法をお許し下さいませ。叛逆でなければ、復讐《ふくしゅう》でございます、人の妻として、世の女として、取るべき道ではござりませぬ」
「一学、そちは、常ならず昂奮しているが、わし[#「わし」に傍点]は何も知らぬ、知ろうとも思わぬが、叛逆という言葉はおだやかであるまい、もし、さる事実がありとすれば、叛逆はかれにあらずして、われにあるのだ、その当然のむくいとして、わしは復讐を甘受しなければならぬ」
「エ、何と仰せられます、殿様が、奥方にそむいたと仰せられますか。それはあまりに御寛大なお言葉でございます。一切を承知致しております私にとりましては、痛ましいほどの御寛大のお言葉でございます。甲州へおいでになる道中におきまして、毎日、日課として、こまごまとお文をお書きあそばしたあの御情合……」
一学は声をつまらせてし
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