かによろこんでいます。
幸いにして一学も、また好学の書生でありましたから、日頃の心がけも、おのずからこの書物庫の書棚の上に現われて、こうして不時の主人の検閲を受けるような結果になっても、あえて狼狽せずに案内することができたのみならず、いよいよ内部へ入って、整理の手際を見た時に、主人をして感謝せしむるほどの好成績を示し得たことを、自分ながらよろこばずにはいられません。
「感心に手入れの怠りがないのみならず、分類の方法が宜《よろ》しきを得ている」
といいながら、駒井は一学の手から提灯を受取って、汗牛充棟《かんぎゅうじゅうとう》の書物をいちいち見てあるきました。満足の色を面《おもて》にたたえて――
もし、管理者が一学でなかったら、この書物は、どうなっているか知れない。紛失はしていないまでも、散逸《さんいつ》はしていたろう。そうでなければ虫と鼠との餌食に供せられていたに相違ない。そして、駒井は提灯をふりてらして、自身に書棚の間を縫って歩きながら、めぼしい書物をいちいち抜き取りました。抜き取ったのを一学に渡すと、一学はいちいちその題目を読んでは取りそろえながら、少なからず奇異の念に打たれたこ
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