方は京都へお越しになりましたことを、御存じでいらせられますか」
「うむ……あれの病気はどうじゃ」
「御病気は大抵、お癒《なお》りになったそうでございます」
「そうか……」
「殿様」
と一学は膝を押しすすめて、
「私は人情の表裏反覆というものの甚だしいことを、今更のように学びました、何かにつけて驚き入ることばかりでございます」
 一学は眼に涙をたたえて昂奮すると、駒井はしんみりと、
「いいや、みんなわしが悪いのじゃ、お恥かしい次第だ、この心が出来ていないばっかりに、わが身を誤り、家を亡ぼし、親族には屈辱を与え、お前たちにも苦労をさせてしまった、つくづくとこの身の愚かさが身にこたえる、ゆるしてくれ、ゆるしてくれ」
「恐れ入りまする、そういうつもりで私はただいまの一言《ひとこと》を申し上げたのではござりませぬ。一時は私も、殿様のお心がわかりませんでしたけれど、今となりましては、その考えが変りました。女が悪いのでございます、罪は女にあるのでございます、殿様がお悪いのではございませぬ」
「何をいっているのだ、そういう話は、もうよそうではないか……実は、こうやって急に思い立って尋ねて来たのは、少々
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