の血は忽《たちま》ち顔の全面に溢れたものですから、丸山勇仙は、高部がやられてしまったなと思いました。それと見て、先へ一足進んでいた仏頂寺弥助が、刀を抜く手も見せず竜之助に飛びかかろうとして、急に飛びのいてしまいました。
 三谷一馬もまたすかさず抜き合わせたけれども、遠く離れて、それを振りかぶったままです。腕に覚えのない丸山勇仙は、一時《いっとき》仰天してしまいましたけれど、これは抜き合わせずに、高部弥三次の介抱《かいほう》にまわって、後ろから抱きながら、いたずらにうろたえているばかりです。
 机竜之助は抜討ち横なぐりに高部を斬ると共に、当然踏み込んで行くべき二の太刀《たち》を行かずに、後ろへ退《ひ》いてその刀を青眼に構えたままです。
 多分、仏頂寺が、斬りかかろうとして飛び退いたのはそれがためでしょう。高部を追いかける途端を、小癪《こしゃく》なと、横合いから一ナグリに斬って捨てようとしたのが、案外にも、出足を進めないで、後ろへひいて構えた変化。そこを斬り込めば自分が斬られることを知っているから、退いて立て直すことにしたのでしょう。
 三谷ときては、見当がつかないから、その当座は遠く離れ
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