して、まずしゃしゃ[#「しゃしゃ」に傍点]り出たのが高部弥三次。
「それはまた何事」
 竜之助が答えると、弥三次はせき[#「せき」に傍点]込んで、
「貴殿は昨夜、下諏訪の孫次郎へ一泊致したでござろうな」
「仰せの通り」
「そうして、貴殿は、あの宿で女をかどわかして[#「かどわかして」に傍点]これへ伴い参ったはず」
「何をおっしゃる」
「我々に向って尋常にその女をお渡しなさい」
 弥三次が詰め寄ると、後ろで仏頂寺をはじめ他の三人がニタリと笑っている。
 そこで、竜之助は黙っていました。このやつらは、いいがかりを考えて来たな、自分たちで企《たくら》んだことを、こちらへ向けて先手にやって来たな。よしその分ならばと思ったのでしょう。
「いかにも女を一人つれて参ったに違いないが――」
「穏かにその女をお渡しなさい」
「渡すべきいわれのない者には渡せない、貴殿らにその女を受取るべき縁故があるなら聞きたい」
「我々はその――女にとっては親戚のものでござる、つまり、親戚のものから頼まれて、あとを追いかけまいったものでござる」
「しからば、その受取りたいという女の身元は?」
「宿の女じゃ、貴殿がかどわか
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