う、お化粧、着こなし、緋縮緬《ひぢりめん》の前掛、どう見ても湯女《ゆな》気分の色っぽい女。お雪はちょっと眩惑されて憎らしい気分がしましたけれど、そこになんとなく人なつこいものの残るのを、さぐってみると、どうも殺された姉に似たところがある。気のせいか知らないが、姉の持っていた、人ずきのする懐かしみをかなり多量に持っている。
今の女が、わたしのいない時にこの座敷へ物売りに来て、そうして櫛を落していった。その櫛が二つに割れている。
「ああ、この女もまた姉のように殺されるのではないか」
忽然《こつねん》として起った何の拠《よ》りどころもない暗示。こんな暗示に襲われた自分を、お雪は戦慄《せんりつ》しました。
この女が廊下でバッタリ、仏頂寺弥助に出逢ったのが運の尽きであります。
弥助は、いや[#「いや」に傍点]がる女を無理に自分の座敷へ連れ込んでしまいました。しかもその座敷には新たに二人の客があって都合四人、酒興ようやく酣《たけな》わなるの時でありました。
女がしきりに、あや[#「あや」に傍点]まるのを、かれはどうしても聞き入れない。女はついに泣き声になっても、どうしても、許すことをしな
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