ら、米友はかぶった天狗の面の中から、その男を見つめました。
米友が驚いたその揃いの若者の中の男というのは、いつぞや本所の相生町の家で、米友の槍先にかけて、追払った浪人のなかの一人です。
六
それとは別に、小塚原のお仕置場の前の休み茶屋に収容されたお喋《しゃべ》り坊主の弁信の枕許《まくらもと》には、道庵もいれば、清澄の茂太郎もいます。道庵のいることは不思議ではないが、茂太郎は、弁信が背負って来た笈《おい》の中から出たものです。
疲労しきった弁信は、そこで前後も知らぬ熟睡に耽《ふけ》っているが、さて道庵の身になってみると、小金ケ原の踊りは、今やああして江戸の市中へ移って来てみると、これから小金ケ原まで視察に行くほどの必要もなく、またかえってこの江戸の市中のこれからの騒ぎを見のがすわけにゆかないから、そこで弁信、茂太郎の徒をつれて引返すことにきめました。不動院の一行は、ともかく米友は道庵に托しておいて、小金ケ原へ出かけて一応の視察を試むることになりました。
弁信と茂太郎とを駕籠《かご》に乗せて、長者町の屋敷へ帰って来た道庵、外《はず》しておいた門札をかけ返すと間
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