ど、盲目が提灯を持っては物笑いと思召《おぼしめ》すでございましょうが、何の意味もあるのじゃございません、わたくしどものために提灯をつけて歩くのではございません、彼方《むこう》からいらっしゃる方が、突き当るとお困りなさるだろうと思いまして、これを持って参ります、御新造様がお倉の中からこれを探して、わたくしに持たせて下さいました」
 例によって盲法師の弁信は、誰に問われもしないのに、ベラベラとこんなことを喋りました。二人の盲人は、こうして徐々《しずしず》と屋敷を出て行きました。
 福村をはじめ御家人崩れの連中は、それを見ながらどうすることもできません。
 二人の行こうとする目あては、多分ただいま弁信が名乗った通りであろうけれど、その歩み行く道筋の光景は更にわかりません。武蔵野の尽くるところには、林もあり、森もあり、畑もあり、江戸の郊外が始まろうとするところには、屋敷もあり、人家もあり、火の見の半鐘もあろうというものだが、二人はただ黒暗々《こくあんあん》の闇を歩いて行くだけです。お喋りの弁信も、どうしたものか、あれっきり沈黙してしまいました。
 染井から本所へ行こうとするのは、この二人にとっ
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