+子」、第3水準1−47−54]《ふたご》の形で終始していることは敢《あえ》て不思議ではありませんが、その二人の側に控えて、いっぱしのつもりで同じ焚火を囲んでいるもう一人が碌《ろく》でもない者であることは不思議です。碌でもないと言っては当人も納まるまいが、この慨世憂国の二人の志士を前にしては、甚だ碌でもないというよりほかはない、例のがんりき[#「がんりき」に傍点]の百蔵であります。
「その屋敷でござんすか、そりゃこの峠宿《とうげじゅく》から二里ほど奥へ入ったところの美平《うつくしだいら》というところが、それなんだそうでございます。今はそこには人家はございませんが、そこが、碓氷の貞光《さだみつ》の屋敷跡だといって伝えられてるところでございます」
がんりき[#「がんりき」に傍点]の百は、いっぱしの面《かお》をして案内ぶりに話しかけると、
「なるほど」
南条力はいい気になって頷《うなず》いてそれを聞いている取合せが、奇妙といえば奇妙であります。ナゼならば、南条力は少なくともこのがんりき[#「がんりき」に傍点]の百なるものの素行《そこう》を知っていなければならない人です。それは甲州街道で、
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