でありました。人のいやがる蛇を集めて大切《だいじ》に育てておりました。
ある日のこと、表通りは押返されないほど賑やかだが、人通りもない湿っぽい路次のところから、この軽業小屋の楽屋へ首を出した一人の盲法師《めくらほうし》がありました。
「こんにちは」
舞台では盛んに三味線、太鼓の音や、お客の拍手がパチパチと聞えているのに、ここでは案内を頼んでも、出て来る人がありません。
「こんにちは」
二度目に言ってもまだ返事がないから、盲法師は気兼ねをしながら中へ入って来ました。薄汚《うすぎた》ない法衣《ころも》を着て、背には袋へ入れた琵琶を頭高《かしらだか》に背負っているから琵琶法師でありましょう。莚張《むしろば》りの中へ杖《つえ》を突き入れると、
「おいおい、ここへ入って来ちゃいけねえ、按摩さん、勘違えしちゃいけねえよ」
通りかかった楽屋番が注意を与えると、盲法師は、
「はいはい、あの、こちら様に、清澄の茂太郎がおりますんでございましょうか。おりますんならば、逢いたくってやって参ったものでございますから、お会わせなすって下さるわけには参りますまいか」
「何ですって、茂太郎さんに会いたいんだ
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