みました、紙の上から、ちゃあんと見透しました、千里眼ですよ、失礼ながら先生にはそれがお出来になりますまい」
「何を言ってるんだ、そんなことがわかるものか」
 ここに二人の道中師という、その年配の方のは七兵衛であります。そうして横柄な方のは、もと新徴組にいた浪士の一人で、香取流の棒を使うに妙を得た水戸の人、山崎譲であります。
 七兵衛と山崎譲とが、こうして組んで歩くことは、がんりき[#「がんりき」に傍点]の百が南条力の手先になっていることよりは、むしろ奇妙な縁と言わなければなりません。
 壬生《みぶ》の新撰組にあって山崎は変装に妙を得ていました。七兵衛が島原の遊廓附近に彷徨《さまよ》うて、お松を受け出す費用のために、壬生の新撰組の屯所《とんしょ》へ忍び入った時に、山崎はたしか小間物屋のふうをして、そのあとを追い、さすがの七兵衛の胆《きも》を冷させたことがあります。
 それがいつのまに妥協が出来たのだろう、こうして主従のような、同行《どうぎょう》のような心安立てで歩いているまでには、相当のいきさつがなければならないことです。
 思うに、七兵衛とがんりき[#「がんりき」に傍点]とは、甲府の神
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