出したように炉の近いところへ来て火を焚きつけました。
「チェッ」
火がよく焚きつかないで舌打ちをしました。ようやく火が燃え上った時分に米友は、ぼんやりとその火をながめていました。しばらくぼんやりと火をながめていた米友が、また急に思い出したように立ち上って、流し元へ行って、二升だきの鍋をさげて来ました。鍋の中には昨夕《ゆうべ》のうちにしかけておいた米があります。
その鍋を自在鍵にかけて米友は、またぼんやりして鍋を見つめました。せっかくの焚火が消えかかるのに驚いて、また慌《あわ》てて薪を加えました。再び盛んに燃え上る火の前に米友は、またぼんやりとして、その火の色と二升だきの鍋の底とを見つめていました。
そのうちに火が威勢よく燃えて、鍋の中の飯が吹き出すと、米友は慌てて鍋の蓋を取って、またその鍋を見つめて、ぼんやりとしていました。その時屏風の中で寝返りの音がして、さも苦しそうに呻《うめ》く声がしました。その声に驚かされた米友は、眼をギョロギョロさせて屏風の方を見返りました。
「眼の見えない者を斬った!」
屏風の中の人は、夢か、うつつか、こう言った言葉に思わず身ぶるいして、
「エエ!」
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