いところへ来て下すった、今お前、お君さんが行方知れずになってしまったところなの」
「誰がどうしたんだ」
「ああ、米友さん、お前はまだ知らなかったのね、お君さんはこの家に、ずっと前からわたしといっしょに暮らしていたの、そのお君さんが今夜、見えなくなってしまったの、このごろ、古市へ行きたい行きたいと口癖のように言っていたから、その気になって出かけたのかも知れない、いいところへ米友さん来て下すった、お前さんも直ぐに探しに出かけて下さい、ほんとにせっかくおいでなすって早々、お使立てをするようなことを言って済みませんけれど、ほかの人と違って、あの方のことですから、お前さんも、喜んで行って下さるでしょう、早くして下さいまし」
「俺らは別に尋ねる人があって来たんだ、酔興《すいきょう》で歩いて来たんじゃねえや」
「ちょいとお待ち、米友さん、お前なにか腹を立てているの。それでまあ手槍を持って、この夜中を一人で歩いて……提灯も持たないで。何かお前にも急用がおありならば、この提灯を持っておいでなさい、提灯を持って歩かないと、辻番がやかましいから」
 お松は米友を追いかけて、自分の手にしている提灯を持たせよう
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