をつけて行く当の人影は、さながら煙のように、現われたり消えたりして行くからであります。人通りはまるっきり絶えてはいたけれども、弥勒寺橋の長屋を出て西へ向いて真直ぐに行けば、六間堀に浅野の辻番があります。右へ行くと、小浜の辻番があります。
それを真直ぐには行かないで、少し後戻りをして林町の方へ出ました。林町の河岸地《かしじ》を二の橋まで来た時に、不意に竜之助の姿が見えなくなりました。米友はせき込んで小走りに走って見たところ、やはりいずれにもその姿が見えませんから、残念がって立っている時に、二の橋の欄干の側をフラフラと歩き出したのがやはりその人でありました。
占めたと思って米友が、そのあとを抜き足で追っかけると、竜之助は煙のように橋を渡ってしまいました。米友がつづいて二の橋を渡ろうとする時に、行手から六尺棒を持った大男の体が見え出しました。
「やあ、あいつが向う河岸の辻番だ」
と米友は当惑して、小戻りして林町の町家の天水桶の蔭へ隠れると、鈴木の辻番は二の橋を渡って、米友の隠れている天水桶の前を、素通りして行ってしまいました。
それをやり過ごした米友が、天水桶の蔭から出て二の橋を渡りき
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