を打ちました。
こちらの炉の傍に寝ていた米友は、その寝返りの音を聞くと、蒲団から首だけを出して屏風の方を見ていました。屏風の中はそれっきり静かなもので、すやすやと夢を結んでいるものらしくあります。それで米友も首を引込めて、また枕に就きました。それから、しばらくして屏風の蔭から、すっくと立った人のあった時には、もう米友は眠ってしまったものと見えて、動きません。
屏風の蔭からそっと忍び足に出た竜之助は、いつのまにか身仕度をしています。面《かお》には覆面をして、羽織を引っかけて、例の刀を左に提げて、ソロソロと屏風の麓を抜き足して歩き出したのは、甲府にいた時と同じような姿であります。ただあの時よりは一層、足許が危なく、屏風から手を放した時は倒れそうに見えました。それでもよろよろとして、細目につけてあった行燈《あんどん》にも、炉端に置いてあった煙草盆にも突き当らず、さぐりさぐり米友の枕許を通り越して、蒲団の一端を跨《また》ごうとした途端に、
「ウーン」
と言って寝像《ねぞう》の悪い米友は足を出しました。その足を避けようとした竜之助は、よろよろとよろめいて、行燈に片手をかけました。さては眼を醒
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