あきばさん》の常燈明の下の腰掛に、二人の浪士体の男は腰をかけて、米友はそれから少し離れたところに、崩し梯子と尻を卸《おろ》して蹲《うずくま》っていました。
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「京都お手薄と心配致し居り候折柄、長州藩士等追々入京致し、都に近々放火砲発の手筈《てはず》に事定まり、其虚に乗じ朝廷を本国へ奪ひたく候手筈、予《かね》て治定致し候処、かねて局中も右等の次第之れ有るべきやと、人を用ひ間者《かんじゃ》三人差出し置き、五日早朝怪しきもの一人召捕り篤《とく》と取調べ候処、豈図《あにはか》らんや右徒党一味の者故、それより最早時日を移し難く、速かに御守護職所司代にこの旨御届申上げ候処、速かにお手配に相成り、その夜五ツ時と相触れ候処、すべて御人数御繰出し延引に相成り移り候間、局中手勢のものばかりにて、右徒党の者三条小橋縄手に二箇|屯《たむろ》いたし居り候処へ、二分に別れ、夜四ツ時頃打入り候処、一ケ所は一人も居り申さず、一ケ所は多勢潜伏いたし居り、かねて覚悟の徒党のやから手向ひ、戦闘|一時《いっとき》余の間に御座候……」
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「なるほど」
この二人の浪士もまた、米友並
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