振舞はしません。けれども二人三人|面《かお》を合せると、この話に落ちて行くのは争い難いものであります。いったい、あれは何者であろうということが問題の中心でありました。
老女の娘であろうというもの、それはまるきり型が違う、老女の娘でもなければ身寄りの者でもない、しかるべき身分の者の持物であったのを、仔細あって預かっているのだろうということは、誰も一致する見当でありました。
或る日、ここへ二三人づれの浪士体の者がやって来ました。そのなかには、曾《かつ》て甲府の獄中にいた南条と五十嵐との二人の姿を見ることができます。
「ああ、南条が知っている、あの男を責めてみるとわかるだろう」
それで集まった人々が、
「南条君、君に聞いたらわかるだろうと衆議一決じゃ、あの女は、ありゃいったい何者だ」
座中の一人が問いかけました。南条はワザと怖い目をして、
「知らん、拙者は女のことなぞは一向に知っておらん」
と首を振りました。
「そりゃ嘘じゃ、君はたしかに知っている、君が連れて来て老女殿に預けたものと、一同が認定している」
「詰らん認定をしたものじゃ」
「そう言わずに白状したがよろしい、情状はかなりに
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