て甘んじて、その玩び物となって誇り顔しているお君の愚かさは、思い出しても腹立たしくなり、蹴倒してやりたいように思うのであります。
 こうして米友はお君のことを思い出すと、矢も楯も堪らぬほどに腹立たしくなるが、その腹立ちは、直ぐに能登守の方へ持って行ってぶっかけてしまいます。能登守を憎む心は、すべての大名や殿様という種族の乱行を憎む心に、滔々《とうとう》と流れ込んで行くのであります。そのことを思い返すと米友は、甲府を立つ時に、なぜ駒井能登守を打ち殺して来なかったかと、歯を鳴らしてそれを悔《くや》むのでありました。能登守を打ち殺せば、それでお君の眼を醒《さ》まさせることもできたろうにと思い返して、地団駄《じだんだ》を踏むのでありました。
 米友の頭では、今でもお君はさんざんに能登守の玩《もてあそ》び物になって、いい気になっているものとしか思えないのであります。間《あい》の山《やま》時代のことなんぞは口に出すのもいやがって、天晴《あっぱ》れのお部屋様気取りですましていることは、思えば思えば業腹《ごうはら》でたまらないのであります。
 短気ではあったけれども、曾《かつ》て僻《ひが》んではいなか
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