生のところへ姿を現わしたのは、その時を得たものかどうかわかりません。
 しかし、訪ねて来たものはどうも仕方がないのであります。本来ならば、与八と一緒に訪ねて来る約束になっていたのが、一人でさきがけをして来たものらしくあります。
「こんにちは」
 米友は、きまりが悪そうに先生の前へ坐りました。この男は片足が悪いから、跪《かしこ》まろうとしてもうまい具合には跪まれないから、胡坐《あぐら》と跪まるのを折衷したような非常に窮屈な坐り方です。
「やあ、妙な奴が来やがった」
 道庵先生もまた、手錠のまま甚だ窮屈な形で、米友を頭ごなしに睨《にら》みつけました。
「先生、どうも御無沙汰をしちゃった」
 感心なことに米友は、木綿でこそあれ仕立下ろしの袂《たもと》のついた着物を着ていました。これは与八の好意に出でたものでありましょう。
 ここで道庵と米友との一別来の問答がありました。道庵は道庵らしく問い、米友は米友らしく答え、かなり珍妙な問答がとりかわされたけれど、わりあいに無事でありました。
「友公、実はおれもひどい目に逢ってしまったよ」
 道庵が最後に、道庵らしくもない弱音を吐くので、米友はそれを不思
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