のこの御殿の上で、ある日、多くの来客がありました。この来客は決して前のような道庵をあてつけの会でもなんでもなく、ドチラかといえば今までの会合よりは、ずっと品もよく、珍らしくしめやかな会合でありました。
そこへ集まった者はみな名うての大尽連で、今日は主人が新たに手に入れた書画と茶器との拝見を兼ねての集まりでありました。やはり例の通り高楼をあけ放していたから、道庵の庭からは来客のすべての面《かお》までが見えるのであります。なにげなく庭へ出て薬草を乾していた道庵が、この体《てい》を見ると、
「占めた!」
薬草を抛《ほう》り出して飛び上り、
「国公、ならず者をみんな呼び集めて来い」
と命令しました。
ほどなく道庵の許へ集まったのは、ならず者ではなく、この近所に住んでいる道庵の子分連中で、それぞれ相当の職にありついている人々であります。
主人側では新たに手に入れた名物の自慢をし、来客側ではそれに批評を試みたりなどして鰡八御殿の上では、興がようやく酣《たけな》わになろうとする時に、隣家の道庵先生の屋敷の屋根上が遽《にわ》かに物騒がしくなりました。
主客一同が何事かと思って屋根の上を見た時
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