に喜びました。
「お君様、ここで拝見させていただいてよろしうございますか」
「よいどころではございませぬ、さあさあこちらへ」
お松はお君のいるところへ訪ねて、一緒に見物をさせてもらいに来たのは、お君の方《かた》にとってはかえって願ったり叶ったりの喜びでありました。お君は嬉しがって、お松に半座を分けて与えます。
お君の方について来た女中たちもまた、喜んでこのお客を待遇《もてな》しました。前の筑前守の使の者とは打って変って、打解けた気持でこの若いお客を待遇《もてな》すことができました。
お松もまた、ほかに席があったのだろうけれども、わざわざここをたずねて見物を同じにさせてもらいたいほど、ここへ来るのを喜んでいました。
お君と並ぶようにして席を取って、馬場の人出を見渡したお松は、桟敷の方に目を注いでいるうちに何かに驚かされて、ただならぬ色を現わし、
「お君様、この御簾《みす》を少し下げようではありませんか」
総《ふさ》で絞った幕の背後に御簾を高く捲き上げられてあったのを、お君は今まで気がつきませんでした。
ちょうどその時に、相図の花火が揚りました。今日はこれから、今までに見られな
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