国の住人|諏訪大夫盛澄《すわのたいふもりずみ》から出でたもので……この盛澄は俵藤太秀郷《たわらとうだひでさと》の秘訣を伝えたものでござる」
と言って得意げに語るところを見れば、騎射に相当の覚えのあるものであることに疑いないらしい。
「このねらい方というやつが……人によってはこれを鏃《やじり》からねらうものもある、また左からねらうものもあるけれど、これはいずれもよくないこと」
 小森は柱に立てかけてあった塗弓を手に取りながら、ねらい方のしかたばなしをはじめました。
「一途《いちず》にこうして鏃ばかりでねらうと、鏃の当《あて》はよくても、桿《かん》の通りが碌《ろく》でもないことになると、矢の出様が真直ぐにいかない。また弓の左からねらうと、矢というものはもとより右の方にあるものだから、鏃が目に見えなくなる。それで的《まと》の見透《みとお》しが明瞭《はっきり》とせぬ故、遠近の見定めがつかぬ……その故にねらいの本式はまず弓を引き分くる時に的を見、さて弓を引込めたる時、目尻でこう桿から鏃をみわたし、それから的を見透すというと、これは大《さす》、これは小《おちる》、これは東《まえ》、これは西《うしろ
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