っとしてはいない。
 この四個《よっつ》の人影がここで組んずほぐれつ大格闘をはじめてしまいました。争うところはその袋入りの刀にあるらしい。
 お角は何だかわからないけれども、がんりき[#「がんりき」に傍点]の危急と見て格闘の仲間入りをしました。女だてらに負けてはいないで、武者振りついていました。
「あッ」
という声でお角は慄え上りました。
「百さん、どうおしだえ」
 お角は我を忘れてがんりき[#「がんりき」に傍点]を呼ぶ途端に、一人の覆面のために烈しく地上へ投げ出され、その拍子に路傍の石で脾腹《ひばら》を打ってウンと気絶してしまったから、その後のことは何とも分りません。
 それからどのくらい経ったのか知れないが、お角は介抱される人があって呼び醒《さ》まされた時に、気がついて見れば、やはり覆面の侍が傍にいました。
 しかし、同じ覆面の侍でも今度の侍は、前の覆面の侍とは確かに相違していることがわかります。人品も相違しているし、風采《ふうさい》も相違していることがわかります。
「お女中、気を確かにお持ちなさい、お怪我はないか」
と背を撫でているのは、その人品骨柄《じんぴんこつがら》のよい覆面
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