に冷淡になりました。冷淡になったのではないだろうけれども、以前のように打てば響くほどに世話が届きませんでした。ムク犬のためにする毎日の食事も、以前は自分から手を下さなければ満足ができなかったのに、このごろでは女中任せになっていました。女中がツイ忘れることもあるらしく、それがためにかどうか、このごろのムク犬は、お君の傍にあるよりは米友の方へ行っていることが多いようであります。
今、ムクはお君のいるところの縁先へ来ていることは、その物音でも呼吸でもお君にわかるのであります。こんな時には必ずムクにしかるべき意志があって来るのだから、前のお君ならば何事を措《お》いても障子をあけるのでしたけれども、今のお君はそれよりも、鏡にうつる己《おの》れの姿の方が大事でありました。
「ワン!」
堪り兼ねたと見えてムク犬は、外で一声吠えました。吠えられてみるとお君は、どうしても障子をあけなければなりません。そこにはムク犬が柔和《にゅうわ》にして威容のある大きな面《おもて》を見せていました。
お君の面を見上げたムク犬の眼の色は、早く私についておいで下さいという眼色でありました。
それは何人《なんぴと》よ
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