げの軍備金だとか言って、ところの物持ちをゆす[#「ゆす」に傍点]るのだ、それがこの山奥までやって来ようとは思わなかった」
「では盗賊《どろぼう》でござんすか」
「盗賊というわけでもない、なかには相当な志を持っているものが、心ならずもそんなことをして歩くのがある、結局は金で納まるのだ、白羽《しらは》の矢を立てられたその望月とやらが気の毒」
「お金で済めば結構でござんすけれど、山方《やまかた》の人はそんなことに気がつかないで、お金などを出してはかえってお役人に失礼なんぞと遠慮をなさるかも知れませぬ」
「どのみち扱いが少し面倒だ。人はみんなで幾人ぐらい来ているな」
「お侍が二人に、お伴《とも》の衆が五六人、みんなで十人ばかり」
「それは少し大仕掛だ、ことによると望月の財産を振ってしまうようなことになるかも知れぬ」
「御災難でござんすねえ」
「災難だ、災難だ。それから、あの里帰りに行ったという嫁は帰って来たのか」
「いいえ、まだお帰りござんせぬ」
「それも危ない。どのみち、この婚礼を附け込んで企《たく》んだ仕事だから、向うへも手が廻っている。結局ドチラも身代金《みのしろきん》、下手《へた》に出
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