ょうざら》ぐらいありそうなものだ」
 がんりき[#「がんりき」に傍点]は燃えさしの木片《きぎれ》を松明《たいまつ》のようにして本堂の方へ行ってみる、畳の破れへ足がひっかかって転びそうになった途端に、代用の松明が消えかかる。
「おっと危ねえ」
 また足を踏み締めて、やっと須弥壇《しゅみだん》の方へ行くと、幸いなことに百匁蝋燭《ひゃくめろうそく》のつけ残りが真鍮《しんちゅう》の高い燭台に残っていたから、
「有難え、南無《なむ》お祖師様」
 がんりき[#「がんりき」に傍点]はその蝋燭へ火をつけて帰って来ると、お絹はその光で寺の中を今更のように見廻します。
「それでは、夜具蒲団と、お凌《しの》ぎになるようなものを、そう言っていま持たしてよこしますから」
「どうも御苦労さま」
 がんりき[#「がんりき」に傍点]はお絹の横顔を見ながら、扉をガタビシさせて出て行く。あとは寂然《ひっそり》として百匁蝋燭の炎《ほのお》がのんのんと立ちのぼる。
「もし竜之助さん」
 お絹は仮睡《うたたね》をしていた竜之助の肩へ手をかけて揺《ゆす》る。
「お起きなさいまし、わたし一人じゃ淋しいから」
「がんりき[#「がんり
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