て農民なら農民の層の内部に於ける本質的な層的差別を無視した「平均的」農民の如き無意味な観念が生じる。農民層の内部に於ける推移変化も之では理解できない。
 このことは処で、統計が何か先天的で数学的なものだという観念論的迷信と関係がある。統計に於てまず第一に大切なのは、統計の対象たる大量集団が仮に社会現象にぞくするならば、それの政治的特質の認識であって、それに就いての単なる数学的遊戯ではない。統計を先天的で数学的と思い込むことは統計の実際的適用を全くの無意味へ導くに過ぎぬ。――この観点は第二章「謂ゆる大数法則について」と第三章「統計学及び弁証法に於ける偶然性の概念」の二章に於て具体化される。
 第二章は、大数法則が含む処の定理や命題が、決して形式的な数学的理論の枠内に尽きるものではなくて、その哲学的意義から検討されねばならぬ所以を説き、先に論理学的に述べた点を統計の基本観念たるこの大数法則に集中して叙述する。第三章は統計の基礎となる処の偶然性・チャンス・及びプロバビリティーに関する諸家の哲学的・数学的・統計学的・諸理論の批判であり、ボレル(「ボーレリ」とあるはボレルであろう)・ミーゼス・ボ
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