、ものの観察も当然こういうやり方で行なわれなくてはならぬ。両者の対比と連関とをこの本では具体的に丁寧に述べている。読者はここで又マクドゥーガルの心理学を思い出さねばならぬだろう。――なお形態心理学の研究が盛んなのは九州帝大の心理学教室で、古典的な文献の集録も出版されているし、研究発表や著述も多い。
[#改段]
12[#「12」は縦中横] 「外国人」への注意書
板垣鷹穂氏の評論集『現代日本の芸術』は、五年前に出た『観想の玩具』以来の最初の出版である。そう云っても実はこの本は、同氏の十八冊目か十九冊目の本だ。それ程氏は多作な評論家である。だが今度の評論集は恐らく従来のもの以上に面白いものではないかと思う。大変実際的な落ち付いた観察を以て終始していることによって、或る一つの纏まったアトモスフェアをハッキリと醸し出している。練達の士のものしたものであることを思わせる。
寧ろアトモスフェアが出来上り過ぎてさえいないかということが気にかかる程だ。氏の文章にはもはや青年らしい焦慮も野心もない。文化世間での苦労人らしい坦々たる論調と共に長者らしい鷹揚ささえも備わっているのである。元来氏は
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