学の素養がなくてはならぬ。だけではなく、諸科学上の常識と、普通の常識とが絶対に必要である。例えば「トロツキー」は「トロッ[#「ッ」に傍点]キー」ではなくて「トロツ[#「ツ」に傍点]キー」だ。准[#「准」に傍点]南子は準[#「準」に傍点]南子ではない。其の他幾万の常識。
校正係りは原稿がそのまま活字になったかどうかを校閲するのではなくて、印刷になったものが文章及び文字として正しいかどうかを検閲するものだ。技術だけではなく、文章の筆者以上の理解と、持ち合わせの大常識とが、絶対に必要である。
処で、こういう偉い博学者で注意周到な人間は、なかなか校正などという賤しい仕事をやろうとしない。二流以下の出版屋では校正は小僧にさせる場合さえ多い。悲しむべき現象である。
『唯研』や『唯物論全書』にさえ、誤植が少なくないのは、こういう悲しむべき現象の、典型を実現して見せるためである。悪く思わないで読んで欲しい。
併し原稿渡しがギリギリで、優秀な校正者も手のほどこしようがない場合は、又別に考えねばならぬ。多分之は原稿料や印税が安いからだろう。之亦悲しむべき現象と云わなくてはならない。云いたいことは段々
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