日の日本の児童の心理がどういう動向をとりつつあるか、之を社会的に観察した結果は何であるか、夫を私は著者から聞きたいと思う。子供は或る種の大人よりも、現代生活のリアルな真実をもっとよく知っていはしないだろうか。処が著者は子供達の社会の現代的動向を洞察するよりも、寧ろ文部省其の他の法令や制度や教員などの方に、より以上の教学的情熱を示しているようである。
云いたい点は沢山あるが、紙数に制限があるので割愛せねばならぬ。実を云うと私は著者の実際家らしい識見に啓発される処が甚だ大きいのだが、夫と同時に右に述べたような疑点が却って鮮かに私の眼の前に浮び出して来ることを禁じ得ない。なお付録の四つの文章は有体に云ってあまり共感出来ないものだ。
[#改段]
11[#「11」は縦中横] 小倉金之助著『科学的精神と数学教育』
科学的精神は時代の最も重大な課題である。之こそ現代人の建設の課題であると共に、現下の国民にとっての文化的性能の試金石であると云ってもいい。この時現われた本書の意義は、私が改めて説明するまでもないと思われる。
小倉金之助博士は、数十年来、首尾一貫して科学的精神の提唱と検討と
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