見識、それは又執筆者の銘々に共通な見識なのだが、この見識はそれ自身一つの哲学的態度を意味している。そこにこの辞典のもつ哲学的意義の要点があるだろう。少なくともかかる哲学的態度は、諸分科に分れた文化を総括し組織づけ得る処のエンサイクロペディスト的な能力を意味する。それが無意味な、何でも屋主義に陥らぬためには、思想の相当高度の蓄積発達を必要とする。でこの辞書に現われた哲学的態度なるものは、日本の哲学界・思想界・乃至文化圏・が今日相当発達したという事情に照応するものと推定することが出来るだろう。学術の技術的なアカデミックな水準と思想的な水準とを能く接合し得たものが、これを貫く見地である。
従ってここに一貫する哲学的見地は、勿論相当に進歩的なものなのである。執筆者の顔触れから云っても、その大体の内容から云っても、そう云うことにさし閊えはないだろう。云うまでもなく各執筆者も編集委員達も客観的公正を厳守している。それは辞書として当然であり、又思想・学術・の建前からしても当然なことだ。見解の客観的公正を厳守するが故に、進歩的見地に立たざるを得ないわけだ。
だが進歩的見地に立つと云ってもその進歩の
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