、嘘をつき虚偽や誤謬を犯す人間性の一側面を、取り出そうとする人間論が、イデオロギー論として挙げられているのである。そういう意味ではイデオロギー論は「心理的なイデオロギー論」に帰着し、又それに止まらざるを得ない。実際この書物で挙げられた思想家のイデオロギー論は、多少の例外を除けば、どれも心理的なイデオロギー論に外ならないのである。だから、ここで取り扱われたものは、社会意識としてのイデオロギーを論じる本格的なイデオロギー論に対して、云わばイデオロギー論の前史[#「前史」に傍点]に当る部分と云って好いだろう。第二部第三部に本格的なイデオロギー論の歴史が展開される筈である。
聞く処によると、この書物は東北帝大の社会学研究室に於ける演習の成果だそうである。吾々はこのように活発な活動をし始めたアカデミーに対して、もう一遍評価のやり直しを試みなければならなくなるかも知れない。
[#改段]
4 再び『イデオロギーの系譜学』
東北帝大社会学教室は今度、新明正道教授外二名の手になる『イデオロギーの系譜学』(第一部)を世に送った。まず最初に取り上げられるものはマキャヴェリの思想、特にその政治学
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