壊が不況であり、均衡の恢復が好況に向かうということであって、資本主義のサイクルは多分一九四六(?)年度までに上昇期に這入るだろう、と博士は予言している。現在の行きつまった帝国主義的独占資本主義は、統制経済・ブロック経済・の計画経済によって、華々しくその強健な均衡を恢復するだろうというのである。この際博士が興味と期待とを最も大にしているものは所謂「日満ブロック」乃至「東亜モンロー主義」であるように見える。ビジネス・サイクルを仮定することは資本主義の均衡が絶対的には破壊されないと仮定することである。之が博士の非常時的「イデオロギー」なのであり、そして博士によれば、異った立場にある人はその人々で、各々のイデオロギー実現のために、生の激流に投じて抜手を切って進むことが勧められる。
 処で今日、均衡主義の経済哲学の多くは現象主義に立っているようである。之はパレート一派の所謂数理経済学などに於て最も著しい。博士の現象主義は併しその経済価値論に於て最も著しく現われている。客観価値説でも主観価値説でもなく、又二つの折衷でもなくて、最小費用最大効用という経済の理想へ進むことから来る差額剰余の拡大[#「差
前へ 次へ
全273ページ中190ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
戸坂 潤 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング