会的生活が、進化論によって、即ち博士に従えば、生存闘争・自然淘汰・によって、説明出来るとする想定の内に横たわる。人間の生活を統制する規範としての法則(規範法則)も全く生存闘争によって淘汰されて吾々にまで残されたものに外ならない。従って之と経験法則とは元来合流出来る筈のもので、経済法則[#「経済法則」に傍点]の如きはその一例なのだと博士は考える。経済法則とは経済価値[#「経済価値」に傍点]の実現展開の法則のことであり、之によって生はよりよき善[#「よりよき善」に傍点]に高められ、かくて文化価値[#「文化価値」に傍点]そのものの進展に資することが出来るというのである。之が経済現象に於ける進化の謂である。
 処で普通進化論は生物学主義的な有機体説[#「有機体説」に傍点]に結び付き勝ちであるが、博士は進化過程の動力を説明するのに、寧ろ弁証法[#「弁証法」に傍点]を以てしようとする。細胞の相互抗争による相互作用(もはや単なる因果関係ではない)を介して生物個体が運動し変化するように社会の運動・変化(進化)・も亦弁証法を介して初めて行なわれると考える。
 だが博士による弁証法の哲学的解明は多分に曖昧
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