的方法をうけついでいるようである。「対象意識としての時間意識」と「固有意識[#「固有意識」に傍点]としての時間体験」との区別に夫はよく現われている。それから時間の哲学的分析に於て功績のある高橋教授の影響も大変よく取入れている。知覚的時間と情意的時間[#「情意的時間」に傍点]との区別などがそれだ。著者が最も得意とする業績の部分は、「二時程比較判断」を中心とする時間評価の実験的研究であるらしいが、之を包括している哲学的省察力は相当力量があると思われる。
本書は大体に於いて「時間意識」に関する科学的入門書として必要な観念と知識との整理を与えたものと見てよい。時間概念の分類、固有意識としての時間体験、知覚的時間・時間感覚・時間直観・の問題、時間領域・時間閾・時間評価・過現未(時間のモーディー)、等の問題、睡眠時や変態条件下に於ける時間意識等、が検討されて一応の整頓を与えられている(病態心理学的な時間研究を示唆しているのも教えられる点だ)。この包括的な取り扱い方では、殆んど日本に於ける唯一の著書かも知れない。
併し著者の眼界は心理学的関心によって可なり制限されているようだ。つまり時間意識を一
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