で来れば誰でも「生産」というカテゴリーを尤もなものとして思い付くだろう。それは技術の目標であったが、それが同時に、或る条件の下に、科学の目標であるとすれば、問題は解かれる可能性を生じるわけだ。――こういう云い方は、単に理づめで理論的で形式的だが之に照応する事実は科学的成果を相当系統的に指摘出来るし、又之に通じる意見を科学者の思想から選び出すことも出来ると思うので、今日之はただの可能性ではないだろう。
以上、科学は認識を目標とすると云う代りに、科学は生産を目標にする(物を造るものだ)、という見解の権利づけの一端を試みたものである。本当の問題は科学に於ける生産(物を造る)とは何かを分析的に証明することであるが、時にブリジマンは、プランクやアインシュタインの「測定し得るもののみが科学的に存在する」という思想を拡張して操作[#「操作」に傍点](Operation)可能な概念だけが実在的だと考える。科学と技術との関係から見てこの操作というカテゴリーは興味がある。之を造る[#「造る」に傍点]という範疇に連絡して見ればどうなるだろうか。
底本:「戸坂潤全集 第一巻」勁草書房
1966(昭和41)年5月25日第1刷発行
1967(昭和42)年5月15日第3刷発行
入力:矢野正人
校正:松永正敏
2003年9月11日作成
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