に角文部省にとっては、というのは一般に支配社会にとってはということになるが、宗教は必要なのだ。ただ文部省にとっては宗教を無条件に運用するのにその建前からいっても、先の信教自由は別としても、いくつかの障碍が横たわっている。その一つは明治初年以来の政教分離に基く学校における宗教教育の禁止だ。そこで困った文部省は、先般、或る口実を設けることによって、学校における宗教教育を許可し、または寧ろ奨励することにしたのである。というのは、学校において禁止すべきものは宗教教育ではなくて宗派[#「宗派」に傍点]教育である、宗教教育は宗派教育を離れて行なわれるべきだという解釈だ。ところが宗教はすべてまたいつの世でも宗派や教団から離れてはないのだから(宗教団体法によって宗教取締と宗教奨励とを企てる文部省は実はこのことを一等よく知っているはずだ)、これを超越した宗教というと、つまり宗教的情操[#「宗教的情操」に傍点]というものになる。実際文部省は各学校に向かって宗教情操教育を施せと命じているらしい。ところがこの宗教的情操なるものくらい訳のわからないものはないので、第一各宗派に共通なようなものは、到底具体的な宗教
前へ 次へ
全451ページ中379ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
戸坂 潤 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング