、今日出でざるを得ずして躍り出た、社会の最も自然な而も痛烈な風刺なのである。
[#改頁]
24 風刺としての邪教
文部省における宗教制度調査会の初総会において、宗教団体法案綱要の審査会が開かれた。席上時の文相松田氏は述べていわく。「方今物質文明の異常なる発展に伴い、これが幣竇《へいとう》もまた顕著なるものあり、ひいて国民思想の動揺を来し、人心ややもすれば中正を失し矯激に走るありて洵に寒心に堪えぬ」……「なかんずく人心の感化社会風教の上に至大の影響をおよぼす宗教の健全なる発達を遂げしむることは、もっとも緊要なることの一たるを失わぬ」云々。そのために今ここで、宗教団体法案なるものを案出したから、審議して欲しいというのである。
すなわち文相のいう所によっても明らかなように、今度の宗教団体法案は宗教の健全なる発達によって、物質文明の幣竇を矯めようという目的を有つわけだ。だが一体宗教の健全なる発達、というのは即ち健全なる宗教の発達、ということに相違ないが、それが抑々何であるかがわれわれの遂に正確に理解し得ない所なのである。
宗教団体法案の内容を見ると、これは何より先に、宗教法案ではな
前へ
次へ
全451ページ中376ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
戸坂 潤 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング