チキとはどういうことか。この俗語は二つの場合を指している。一つは事物の客観的な力関係乃至比重を、主観的な利害やひいき目から、実際に見誤ることであり、もう一つは夫を故意に他人に見誤らせるように仕向けることである。自分をえらそうに重大そうに見せるのにも、実際自分をそう思っている場合と、実際には自分のえらくなさ[#「なさ」に傍点]や小ささを知っているが故にわざと大きく見せようとする場合とが区別される。寧ろ前者の方が性格薄弱者や性格破産者のみじめなインチキさであるが、併しいずれにしろ、事物や人間関係の客観的に公正なプロポーションをうぬぼれや利害感から、ゴマ化すことが、インチキということの哲学的或いは論理学的な本質なのである。
 観念と物質との客観的比重を無視して、精神主義を強調するものは、元来それだけでインチキなものであるのだが、併し忘れてはならないことは、観念と物質との比重も、之を純観念的に測定する限り、少しも比重のゴマ化しは暴露しないですむのであって、従ってどんなに荒唐無稽な体系でも教義でも、それが純精神的な世界に終始する限り、インチキに見えずに済むものだ。だから修養とか精神鍛錬とか肚をつ
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