制令の矛盾[#この行はゴシック体]

 現在スポーツで人気のあるのは、何といっても野球であり、而も学生の野球である。併し独り野球に限らず、一般にスポーツが人気があるということは、単に学生に特有な集団生活と閑暇生活とからの結果偶々学生界に於てスポーツが盛んであるからばかりではない。人々が学生スポーツに於て期待するものが、スポーツそれ自身にあるのではなくて寧ろ学生生活そのものの一表現がスポーツだという処にあるからである。
 勝負・賭け・遊戯・体育・といったスポーツのもっている各種の意味が、偶々実社会から隔離された教育対象である学生の生活条件とよく一致することから、特にスポーツが主として学生生活の一表現と見做されることになるのである。学生野球ファンは事実、銘々の選手や各チャンスに就いて、野球のスポーツ技術に興味を持っているように見えるが、実はそういう興味の裏を一貫するものは、実際社会から何かの意味で隔離された学生の世界に対する世間の興味なのであって、「社会」に労《つか》れたファンはそこに一種の心安さを見出すのだ。或いは単にそういう興味を純スポーツ的な興味だと幻想するのである。
 学生野球、否
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