そうで、日本だけが特に教育年限が長いのではないというのである。
 今、中等学校教員の生活問題から来る反対動機はさし当り論外としよう。なぜなら之はたしかに社会に於ける[#「社会に於ける」に傍点]「教育[#「教育」に傍点]」なるものの重大問題であるのだが、併し少なくとも直接には、被教育者の教育の問題ではないからだ。之を抜きにして考えるとして、即ち被教育者の教育だけを社会に於ける教育全体から抽象して問題にする限り、教育年限が長すぎて悪いということはどこにもない筈だ。まして日本だけが教育年限を短縮しなければならぬという理由はどこにもない。だからその限り[#「その限り」に傍点]吾々は、遽かにこの中等学校年限短縮案には賛成出来ない、と云わねばならぬ。
 だが問題はもっと根本的な処に伏在している。一体中学校の第五年学級が、中学一般教育上絶大な教育的効力をもつのが仮に本当としても、その教育的効力なるものが、どういう種類のものであるかによって、改めて考え直して見なくてはなるまい。中学校では本当に普通教育的な即ち人間の生長にとって本当に普遍的な意義のある、教育を元来施しているのかどうか、それが判らなければ
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