先生が本を書いたり論文を書いたりすることは、主に一つの副業としてであるが、この内職は却って威厳を増すのに、カフェーの経営の方の内職は、その威厳を傷ける。その意味に於て官吏や将校は断じて内職を許されていない。丁度一昔前の職業婦人が賤しく恥ずべきものと考えられた段階に、今日の所謂内職の位置があるのである。処で小学校の先生のやれそうな内職には、あまり立派な内職(?)は少ないので、多くは所謂内職らしい内職を選ぶ他はない。その結果先生にあるまじき[#「先生にあるまじき」に傍点]内職にまで及ぶのだそうだ。だがいかに先生にあるまじき[#「あるまじき」に傍点]内職と云った処で、そうした内職をやることが先生にとって必要であるとしたら、夫はすでにあるまじい[#「あるまじい」に傍点]内職ではないわけではないか。所謂内職は先生の威厳を著しく傷ける。併しその内職をやらない限り、他方に於て先生らしい威厳が又保てないとしたらどうなるか。――でこうして先生業の威厳は今日、この一角から崩れ出すのである。
「嘆きの天使」の先生となる前に、「嘆きの天使」の改変を要求したりなど出来るとは、先生冥加の至りと云わねばなるまい。
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